ピラティスで期待できる5つの効果とは?

当記事では、ピラティスで期待できる効果を、根拠とあわせて解説します。
「ピラティス」というエクササイズは聞いたことがあっても、実際にどんな効果が期待できるのか、どこまでが確かめられている話なのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
ピラティスは、体幹を中心とした筋力トレーニングと柔軟性の向上を組み合わせたエクササイズです。研究によって効果が示唆されているもの(腰痛の改善など)と、よく言われるものの科学的な裏付けがはっきりしないもの(「内臓の位置が戻る」など)が混在して語られがちなので、当記事ではその区別がつくように紹介します。
これからピラティスを始めようと考えている人や、ピラティスに少しでも興味がある人はぜひ参考にしてください。
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ピラティスで期待できる効果とは?
まずは、ピラティスで期待できる主な効果を解説します。
<ピラティスで期待できる効果>
・姿勢の改善
・腰痛など体の不調の軽減
・柔軟性の向上
・筋力アップによる引き締め
・ストレス解消・リフレッシュ
効果1.姿勢の改善

ピラティスは、背骨や骨盤を支える体幹の筋肉(いわゆるインナーマッスル)を意識的に使うエクササイズです。
デスクワークなどで崩れがちな姿勢は、体質の問題ではなく、特定の筋肉をうまく使えていないことや日々の姿勢のクセが一因とされています。ピラティスで体幹の筋肉をバランスよく使えるようになると、立ったときに耳・肩・骨盤・くるぶしが一直線になるような安定した姿勢を保ちやすくなることが期待できます。

姿勢が安定すると見た目の印象が変わるだけでなく、肩や腰への負担の偏りが減ることも期待できます。
効果2.腰痛など体の不調の軽減
ピラティスの効果の中で、比較的研究が進んでいるのが腰痛への効果です。
慢性腰痛に対するピラティスの効果を検証したコクラン・レビュー(Yamato et al., 2015。書誌情報は記事末尾に記載)では、ピラティスは何もしない場合と比べて、短期〜中期の痛みと機能の改善に効果がある可能性が示されています。ただし、エビデンスの質は低〜中程度で、他の運動より特別に優れているとまでは言えない、ともされています。
「ピラティスだけが特効薬」というわけではありませんが、体を動かす習慣として腰の不調にアプローチしたい人にとって、選択肢のひとつになるエクササイズです。
なお、現在腰痛などの症状がある方は、自己判断でエクササイズを始める前に医師にご相談ください。
効果3.柔軟性の向上
ピラティスの動きには、筋肉や関節をゆっくり伸ばすストレッチの要素が多く含まれています。
厚生労働省の健康情報サイトe-ヘルスネット「ストレッチングの効果」でも、ストレッチングは体の柔軟性を高めるのに効果的で、姿勢の保持やリラクゼーションにも役立つと紹介されており、ヨガやピラティスもこの運動の範疇に含まれるとされています。
体の可動域が広がると、日常のちょっとした動作で体を痛めるリスクを減らすことにもつながります。
効果4.筋力アップによる引き締め

ピラティスは、自分の体重や器具の負荷を使って筋肉に抵抗をかける「レジスタンス運動」(e-ヘルスネット「レジスタンス運動」)の一種です。継続することで体幹を中心とした筋力の向上が期待でき、メリハリのあるボディラインづくりにつながります。
ただし、正直にお伝えすると、ピラティス自体の消費カロリーは激しい有酸素運動ほど多くありません。「ピラティスを始めれば自動的に痩せる」わけではなく、引き締まった姿勢づくりと運動習慣の入り口として捉えるのが現実的です。減量が目的の場合は、食事の見直しや有酸素運動との組み合わせをおすすめします。
効果5.ストレス解消・リフレッシュ

ピラティスは激しい動きをともなわず、1つ1つの動きを丁寧におこない、呼吸を大切にします。そのため、運動中は体の感覚に意識を集中でき、頭の切り替えやリフレッシュの時間として活用できます。
運動習慣そのものがメンタルヘルスに良い影響を与えることは広く知られており、週1〜2回でも「自分の体と向き合う時間」を持つことは、ストレス対処の手段のひとつになります。
ピラティスの効果はいつから実感できる?
「どのくらい続ければ効果が出ますか」は、ピラティスを始める人がいちばん知りたい点でしょう。
先に押さえておきたいのは、変化は「体感 → 動作 → 見た目」の順に現れるということです。鏡や体重計で分かる変化は最後にやってきます。この順番を知らないまま見た目だけを基準にすると、変わり始めている段階で「効いていない」と判断して辞めてしまいがちです。
| 時期の目安 | 変わりやすいこと |
|---|---|
| 1〜2回目 | レッスン直後に「立ちやすい」「呼吸が深い」と感じる。ただし数時間〜翌日で元に戻ることが多い段階です |
| 3〜10回目(およそ1〜2ヶ月) | 狙った場所に力を入れられるようになり、同じ動きを自分で再現できるようになる。指示の意味が体で分かり始めます |
| 10〜20回目(およそ2〜3ヶ月) | 日常動作での変化。長く座っても腰がだるくなりにくい、階段や荷物の持ち上げがラクなど、レッスン外で気づくことが増えます |
| 20〜30回目以降(およそ3〜6ヶ月) | 見た目の変化。写真に写ったときの姿勢、服のフィット感、周囲からの「姿勢よくなった?」という指摘など |
ピラティスの創始者ジョセフ・ピラティスの「10回で違いを感じ、20回で見た目が変わり、30回で体のすべてが変わる」という言葉は有名ですが、これは創始者本人の言葉であり、臨床研究で確かめられた数字ではありません。目安として参考にする程度にとどめ、実際は週1〜2回を3ヶ月続けたうえで判断するのが現実的です(変化の出方には個人差があります)。
なお、実感が遅れやすいのは次のようなケースです。
- 頻度が月1〜2回にとどまっている(間隔が空くと、毎回「思い出す」ところから始まります)
- 動作中に呼吸が止まっている(力むことと支えることは別物です)
- 痛みや違和感をこらえて続けている(別の場所で代償してしまい、狙った筋肉が働きません)
痛みがある場合は続けずに中止し、医療機関にご相談ください。

ピラティスで体型は変わる?現実的な見通し
「ピラティスで体型が変わった」という話をよく見かけますが、何がどう変わるのかは正直に整理しておく必要があります。
消費カロリーは多くありません
運動強度を示す「メッツ」という指標で見ると、ピラティスはおおむね3メッツ前後、ふつうの速さのウォーキングと同程度に位置づけられます。体重50kgの人が50分取り組んでも消費カロリーは130kcal前後(おにぎり1個に満たない程度)で、ランニングのような有酸素運動と比べれば決して多くありません。
つまり、ピラティスは体脂肪を削る手段としては効率のよい選択ではありません。体重を落とすことが第一目的なら、食事の見直しと有酸素運動を組み合わせるほうが確実です。
変わりやすいのは「体重」ではなく「姿勢とライン」
一方で、体重がほとんど動いていないのに「痩せた?」と言われることは珍しくありません。これは脂肪が減ったからではなく、肋骨と骨盤の位置関係や肩の位置が変わり、体のシルエットの見え方が変わったためと考えられます。
- 肋骨が開いたまま反り気味だった人は、お腹の前面が前に押し出されにくくなる
- 肩が前に入っていた人は、胸まわりが開いて上半身の印象が変わる
- お尻やもも裏を使えるようになると、下半身のラインの出方が変わる
なお、ピラティスによって骨そのものの位置が矯正されるわけではありません。変わるのは筋肉の使い方と、その結果として保ちやすくなる姿勢です。
変化を測るなら体重計より写真
体重計の数字は、姿勢の変化をまったく拾ってくれません。ピラティスの変化を追うなら、次の3つがおすすめです。
| 測るもの | やり方 |
|---|---|
| 横向きの全身写真 | 月1回、同じ場所・同じ服装・同じ立ち方で撮る。横から撮るのがポイントです |
| ウエスト周囲径 | 体重より先に変わることがあります。息を吐いた状態で測る条件を毎回そろえます |
| 服のフィット感 | 数字に出ない変化を拾いやすい指標です |

よく言われるけれど、裏付けがはっきりしない効果
ピラティスの紹介でよく見かけるものの、科学的な裏付けがはっきりしない表現もあります。当サイトでは、以下のような表現は「効果」としてお伝えしないようにしています。
・「内臓が正常な位置に戻る」
・「骨格が矯正される」
・「骨盤のゆがみが治る」
体幹の筋肉を鍛えることで姿勢が安定し、結果として体の使い方が変わることは期待できますが、ピラティスが内臓や骨格の位置そのものを動かして「矯正」するという考え方には、現時点で十分な科学的根拠がありません。こうした表現を断定的に使う広告や記事には注意してください。
ピラティスが向いている人と向いていない人は?
ピラティスが向いている人
<ピラティスが向いている人>
・運動強度の高くないエクササイズから運動習慣を作りたい人
・姿勢や体の使い方を基礎から見直したい人
・腰や肩の不調を予防したい人(症状がある場合は医師に相談のうえで)
・自分と向き合う静かな運動時間を持ちたい人

ピラティスは、体だけでなくメンタル面にも良い影響をもたらしてくれます。1つ1つの動きを丁寧におこない、深い呼吸に意識を向ける時間は、自分自身と向き合う機会になります。日々の疲れやストレスを、体を動かしながら整えたい人にもおすすめです。
ピラティスが向いていない人
<ピラティスが向いていない人>
・短期間で大きく減量したい人(消費カロリーは多くないため、食事改善や有酸素運動が優先です)
・筋肉を大きく見せるトレーニングをしたい人(高負荷の筋力トレーニングが適しています)
・音楽に合わせて賑やかに体を動かしたい人
ピラティスはインナーマッスルを鍛えるエクササイズで、外見がムキムキになるタイプの運動ではありません。引き締まった、ボディラインのすっきりした体を目指す人に向いています。また、静かに自分と向き合う運動なので、即効性や賑やかさを求める人には物足りなく感じるかもしれません。
まとめ:ピラティスは「姿勢と体幹」に効くエクササイズ。過度な期待より継続を
ピラティスは、姿勢の改善・柔軟性の向上・体幹の筋力アップが期待できるエクササイズで、慢性腰痛については研究でも一定の効果が示唆されています。
一方で、「内臓が戻る」「骨格矯正」といった断定的な宣伝文句には根拠が乏しく、ダイエット効果も「これだけで痩せる」ものではありません。
効果はゆっくり現れるので、数回で判断せず、まずは週1〜2回を数ヶ月続けてみることをおすすめします。体の変化を感じながら、楽しくエクササイズをしてみてくださいね。
自分に向いているか迷っている方はピラティスが向いている人の特徴、ヨガと比較して選びたい方はピラティスとヨガの違いもあわせてご覧ください。ピラティスの基礎知識はピラティスの記事一覧にまとめています。
参考文献・出典
- Yamato TP, et al. Pilates for low back pain. Cochrane Database of Systematic Reviews 2015, Issue 7. Art. No.: CD010265.(DOI: 10.1002/14651858.CD010265.pub2 / 全文は医学文献データベースで閲覧可。一般公開の無料全文はありません)
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「ストレッチングの効果」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「レジスタンス運動」
※当記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的アドバイスに代わるものではありません。持病のある方・妊娠中の方・痛みなどの症状がある方は、開始前に医師にご相談ください。

